全世界に愛されたバリー・シーン
「Icon Sheene」は、Icon Motorcycle社が製造したかつての名レーサーであるバリー・シーンをトリビュートするために製造した限定モデルです。
製造台数は52台と極めて少ないものですが、驚くのはその価格が16万ドル(日本円にして約2000万円)であるということです。
これは世界の高価なバイクランキングのトップ10に入るほどの価格であり、また限定製品であったことから実質的に幻のバイクとして扱われています。
このバイクの価値を理解するためにはまずバリー・シーンという人のことを理解しなくてはいけません。
バリー・シーンは1950年~2003年まで存命したイギリスのバイクレーサーで、ロードレース世界選手権で23回の優勝を果たすという前人未到の記録を打ち立てた人物でした。
残したレースの記録もそうですが、それに加えて人物像がとてもユニークであったということでも高い人気があり、MotoGPの殿堂入りも果たしています。
現役レーサー時代のトレードマークはゼッケン7番とドナルドダックのイラストがついたヘルメットで、過去の慣例に逆らってでもこのマークをつけることに徹底的に拘ったという逸話が残されています。
バリーが生涯をかけてこだわったゼッケン7番は現在もブリティッシュスーパーバイク選手権において永久欠番となっています。
バリー・シーンに関する逸話というのはかなりたくさんあるのですが、中でもファンサービスやマスコミへのアピールがとてもうまく、本人の明るいキャラクターもあって世間にモーターサイクル競技というものを知らしめる大きな起爆剤となりました。
日本においてはそれほどではないものの、英国内では有名な映画スターやロックスターと同じくらいに誰でも知っている有名人物です。
日本に関する逸話もないわけではなく、1974年にSUZUKIと契約をするとともに、そのマシンを使用してチャンピオンにもなっています。
その後YAMAHAとも契約をすることでいくつものレースを制していくのですが、1984年にレースを引退してからはオーストラリアに移住をして2003年に食道がんでなくなるまでそこで過ごしています。
257馬力という脅威のパワーを持ったバイク
豪快な人生を行きたバリー・シーンを称えるモデルである「Icon Sheene」は脅威の257馬力というとんでもない仕様をしています。
彼の生涯を詳しく知りたい人は「ザ・ライダー」という自伝映画がありますのでそちらを参照にしてもらいたいのですが、レース中に何度も壮絶なクラッシュを経験しており、体内にはいくつもの金属プレートが埋め込まれていたといいます。
そんな不死身のヒーローへの哀悼ということで作られたバイクとのことで、他のメーカーにはない特別仕様をふんだんに盛り込んだ設計です。