GPマシンが乗れるようになった

ホンダのファクトリーチームであるレプソルホンダが、ワークスマシンとして作ったRC213V、2016年はこのマシンをマルク・マルケスに与え、MotoGPのライダーズタイトルとコンストラクターズタイトルの2つの王冠を得ることになったわけですが、モータースポーツに興味のある方であれば、それだけ優れたマシンであれば一度は乗ってみたいと思うはずです。

これが市販車改造クラスのレースであれば、改造を施し、それに近いマシンを作り出すことは可能ですが、MotoGPといった格の高いレースともなるとメーカーも多額の資金をかけて、レース専用のモンスターマシンを作ることになり、それに一般の人間が乗ることはほぼ不可能となります。
しかし、このRC213Vに乗ることができるようになりました。

ホンダはRC213Vの2014年モデルをベースに公道でも乗ることができるマシンを発売したのです。
名前はRC213V-S、MotoGPマシンの名前にストリートの「S」が付いただけですがそれだけRC213Vに近いモデルとして作られているということです。

RC213Vとの違いはわずかな部分だけ

2015年に発売されたRC213V-SはRC213Vに行動走行を可能とする装備や一般モデルとしてのコストダウン、メンテナンス性の向上を図るための改良を施した形で作られています。
ですので、基本はMotoGPマシンと全く同じで、雰囲気的にはMotoGPマシンに灯火類を付けただけといった感じで作られているといっていいでしょう。

変更点としては、ヘッドライトやテールランプ、ナンバー灯、ウィンカーといった灯火類やホーンやスピードメーター、バックミラー、触媒付きマフラーといった保安部品、セルスターター、サイドスタンドといった実用面に関わる部品が追加されています。
内部構造もRC213Vではバルブスプリングとしてエアスプリングを使ったニュウマルチバルブを採用していますが、市販車両では一般的なコイルスプリング式となっていますし、トランスミッションもシームレスミッションから通常のものに変更されています。

保安基準をクリアするためにハンドルの切れ角も大きくされ、標準タイヤも溝付のものに、ディスクブレーキローターも雨に強いとされるステンレス製となります。

大幅スペックダウンもやむなし

大きな変更点も加えられず、RC213Vの面影を忠実に守った形で作られたRC213V-Sですが、さすがにMotoGPマシンのような230psオーバーというパワーを持つことは許されませんでした。
この辺は日本の二輪車に対する考え方がよく出ているところでもあります。

日本向けモデルではわずか70ps、これはかなり悲しいパワースペックで大幅なパワーダウンとなります。
サーキット用のキットを装着すれば215psまでパワーアップすることができるようですが、100psオーバーが当たり前となっている大排気量モデルにおいて、パワーダウンはこのモデルの最大の欠点となることでしょう。
これで2190万円、マンションの価格ではありません、オートバイの価格です。
この価格を妥当と見るべきか、高すぎると見るべきか、こればかりは個人の価値観にゆだねることになるでしょう。