マセラティで唯一の2ドアモデル

イタリアのフィアットグループ傘下の自動車メーカーとしてあるのがマセラティです。
ある程度年齢を重ねている方であれば、「スーパーカーブーム」の時代にマセラティ・ボーラという車で聞き覚えがあるかと思います。
そのマセラティが、現行型スポーツモデルとして販売しているのが、グラントゥーリズモいうモデルです。

このモデルは、現行マセラティで唯一の2ドアモデルで、ノッチバッククーペスタイルのボディを持ちます。
ベースとなったのは4ドアクーペとして作られているクワトロポルテで、そのプラットフォームのホイールベースを短縮したもの使い、ロングノーズスタイルの専用ボディを搭載した形で作られています。

エンジンは全モデルともV型8気筒DOHCエンジンで標準モデルには4.2リッターの405ps仕様エンジンが搭載されていますが、更なるスポーツモデルとなるグラントゥーリズモ スポーツには4.7リッターで460psを発生させるパワーユニットが搭載されています。
エンジンレイアウトはエンジン縦置きのFRレイアウトで後輪駆動、トランスミッションは、グラントゥーリズモ スポーツではセミオートマチックトランスミッションであるマセラティ独自の6速MCシフトと6速オートマチックトランスミッションが選べるようになっていますが、この2つのトランスミッションはただ単にトルクコンバーターか、自動クラッチか、といったことだけの違いではなく、トランスミッションが付けらえている位置も違いがあります。
オートマチックトランスミッションの場合は、一般的なエンジン縦置きのFRレイアウトによくあるエンジン直後にトランスミッションを置く形となりますが、MCシフトの場合はトランスミッションが分離され、トランスミッション自体がリヤアクスルに搭載される、いわゆるトランスアクスルで装着されています。

トランスアクスルは走行性能に大きな影響をもたらす

ギヤがたくさん詰まったトランスミッションが後ろにあるということは、前後重量配分的に後ろが重たくなるということになり、リヤタイヤの接地性が高まることを表します。
400psを超えるパワーをリヤタイヤだけで路面に伝えるのはかなり厳しいことで、ちょっとラフにアクセルペダルを踏んだだけで簡単にグリップ力を失ってしまいます。

もちろんトラクションコントロールがついているので、ある程度のホイールスピンは抑えられますが、それがあってもトラクションコントロールの介入が弱化遅めとなっているこのモデルでは、リヤタイヤがあばれて制御が難しくなることがあるわけです。

そういった中で、リヤタイヤの荷重が増し、リヤタイヤのグリップ力が上がることは、早く走るためにも重要ですが、安全に快適に走ることにも大きく貢献することになりますので、できればオートマチックトランスミッションではなく、MCシフト搭載モデルを選んだ方がいいかと思います。