レース参戦を視野に入れて投入された車種

これまでバイクの世界でレースに投入することを想定して市販車を発売することはありました。
しかしレースはレース、市販は市販という風に分けられることが一般的でした。
その常識を覆した車種が、ホンダのCB1100Rでした。

1980年にイギリスで開催されていたアールズコートショーに初めてCB1100Rは登場しました。
この時話題になったのは「市販モデルでレーシングイメージをここまで全面的に押し出したモデルはない」というものでした。

例えば軽量のアルミタンクを標準装備されていました。
軽量化を進め、スピードをできるだけ出すような設計はレースを意識しています。
実際1980年に開催されたオーストラリアの6時間耐久レースでデビューを果たしています。

大排気量でパワフルな走り

レースを意識したモデルということで、エンジンの排気量の大きさが特徴の一つです。
1970年代終盤のレースのトレンドは改造範囲を限定したプロダクションレースでした。
そこで当時最大排気量と言われた1100ccのエンジンのスポーツモデルを作ろうと企画されたのが、このCB1100Rでした。

こちらの車種はCB900Fをベースにして開発されました。
エンジンの排気量は実に1062ccまで拡大するのに成功しました。
フレームについてもCB900F用をベースにして、CB1100Rオリジナルのものにアレンジしていきました。

エンジンにはRS1000のノウハウが随所に駆使されています。
RS1000は耐久レースのエンジンで、優れた耐久性を誇ります。
ここまで走りにこだわった車種なので、ツーリングが趣味の日本人の間でも注目を集めました。

期間限定車種だったのが…

もともとCB1100Rは、1年限定で販売する予定でした。
しかし結局はその翌年や翌々年にも生産を継続することになります。
それだけ国内外からの反響が大きかったわけです。

当時は海外を中心に販売されていました。
しかし日本でも話題になって、どうしても購入したいという方も少なからずいました。
このため、逆輸入されました。

逆輸入されたCB1100Rの当時の価格は、300万円を超えていました。
当時同じくホンダで取り扱っていたCB750Fインテグラでも、75万円でした。
いかに高値で販売されていたかがうかがえるでしょう。

オートバイ黄金時代を作ったCB1100R

1970~80年代は、日本ではオートバイ黄金時代といっても過言ではない頃でした。
この時いわゆる名車がいろいろなメーカーから発売され、その中の一つにCB1100Rがあります。
何十年も経過した今でもなお、これらの時代を彩ったマシンを買い求めたいという人も少なくありません。

このためCB1100Rもプレミア価格で販売されることもあります。
状態が良ければ、700万円程度で販売されている中古車もあるほどです。

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