ドイツでは必要となるスーパースポーツ

アウディはフォルクスワーゲングループの上級モデルとして存在する自動車メーカーです。
ドイツは日本と道路事情が全く違い、あの有名なアウトバーンという高速道路が張り巡らされています。
日本の高速道路のように、覆面パトカーやオービスにビクビクしながら100km/h以下を保って走るのではなく、すべてでないにしろ速度無制限区域があることによって、車自体にも高速性能が必要とされるわけです。

自動車はそもそも移動と運搬を目的としたもの、そういった目的を持つもので、スピードというものは非常に重要で、それを現実とすることができるのがアウトバーンなのです。
そうなると車の作りも変わってきます。
ドイツ車にはフォルクスワーゲンゴルフのような大衆モデルもありますが、メルセデスベンツやBMWの上級モデルのように5リッターオーバーの500ps以上のエンジンを搭載したモデルも必要とされ、そういった需要にアウディもあわせなければならず、その答えの一つとして発売されたのがR8シリーズだったのです。

アウディのスーパースポーツ、R8

アウディは先ほども言いました通り、フォルクスワーゲングループの子会社となっており、フォルクスワーゲンが作るいわゆる大衆車の一つ上を行く高級モデルを作る部門です。
ですので、メルセデスベンツやBMWなどように大型モデル、大排気量モデルを作るような自動車メーカーではないのですが、スピードを求められる環境にあるため、パワーのあるエンジンを搭載し、走行性能も高い、いわゆるスーパースポーツの存在が必要となりました。

当時、アウディはルマン24時間レース向けのR8というモデルを持っており、それで数年間モータースポーツ界を賑わせていました。
そのモデルのイメージとそのモデルに採用されているいろいろな技術をフィードバックした形でスーパースポーツモデルを作ることになり、そこで生まれたのが市販車としてのR8でした。

R8は市販車両なので、レーシングモデルのR8のロードゴーイングカーとして作られているわけではないため、レーシングモデルのR8とは全く違うモデルとして作られています。
ただ、1つだけ同じとなるのがミッドシップレイアウトであることです。
ほとんどアルミ合金となっているモノコックボディにミッドシップレイアウトでハイパワーエンジンを搭載する、ここだけはレーシングモデルと同じです。

それをベースに、2ドアクーペのボディにV型8気筒、V型10気筒エンジンを搭載し、駆動方式はアウディオリジナルのクワトロシステム、四輪独立懸架にデュアルクラッチトランスミッションのSトロニックを搭載した形で作られました。
R8は2ドア2シーターク―ぺが基本なのですが、スパイダーボディも用意されていました。

更なるパワーアップを遂げた2代目モデル

2代目モデルは既に日本でも発売されていますが、それはクーペモデルだけで、オープンモデルのスパイダーは本国やヨーロッパ向けには発売されていますが、日本ではまだ発売されていません。
予定では2017年春ごろに発売されることになっているようです。

このモデルは2代目モデルとなってさらに進化しました。
アルミモノコックにミッドシップレイアウトのクワトロシステムを搭載していることは先代モデルと全く同じなのですが、エンジンがV型10気筒エンジンだけとなり、そしてスパイダーならのはルーフの開閉機構もバージョンアップされました。

エンジンは、現在発売されているクーペに用意されている5.2リッターV型10気筒NAエンジンが搭載されることになっているのですが、クーペでは540ps仕様と610ps仕様の2つのものが用意されているのに対して、スパイダーモデルには540ps仕様のエンジンしか採用されていません。
これはスパイダーボディを持つことにより、ボディ剛性の確保が難しくなったことで610psではオーバースペックになるのではないかということで、パワーの低いエンジンのみの採用となったようです。
パワーが低いといっても540psですから、決してローパワーではなく、ほとんどの車をぶち抜くことができるでしょう。

一方、ルーフの開閉機構ですが、こちらは更に高機能化され、ボタン一つで開閉できる電動油圧式開閉機構は同じですが、わずか20秒で開いたり、閉じたりすることができるようになっています。
もちろん走行中の開閉動作にも対応しているようで、50km/h以下であれば機能させることができるようです。