バブル末期の高級バイク

世界に誇る素晴らしい技術を持つ本田技研工業が満を持して開発したのが、NRです。
発売された当時は1992年で、ちょうどバブル経済が崩壊した時期と重なります。
それまでは多くの国民がバブル景気に湧き、バイクに限らず様々なモノに対して高級志向が高まっていた時期です。
当時の750ccバイクの中でも最速の性能を誇り、楕円ピストンエンジンを採用していたことから、多くのバイクファンを虜にした高級車でした。

しかし、バブル経済が崩壊してしまったことで状況は一変しました。
300台という限定生産だったのにも関わらず、約520万円という高額な価格だったためキャンセルが何件も入ってしまいました。
バブル景気が続いていれば300台ならあっという間に完売していたはずですが、数年後も新車で購入することができるほどの売れ行きになったそうです。
それでも、高性能のバイクとの評価は高く、オーナーの満足度がとても高かった高級車として有名です。

限定生産品だったため、現在では既に完売していますが、当時の定価よりも更に高い約600~700万円前後で取引される場合が多いようです。
やはり今ではもう二度と新車では手に入らない幻の名車であること、製造元である本田技研工業が再び同程度のバイクを生産するのは難しいとしている事などがプレミアバイクになった大きな要因だと考えられます。
日本国内はもちろんですが、海外からの需要も多いバイクです。

参考:絶版車 旧車 の日本製バイクが世界中で人気【今尚斬新】

NRの特徴

NRに使用されている楕円ピストンエンジンとは、実際には楕円形をしているものではありません。
元々はレース用に開発されましたが、市販向けとしてNRに搭載された経緯があります。
現在ではF1やMotoGPでも使用できない状態になっています。
非常に性能が高いエンジンですが、どうしても生産するためにコストがかかり過ぎるのが大きな課題として残されています。
今でも二輪車はもちろんですが、四輪車にも採用されていない状態になっています。

他にも高級車にふさわしいこだわりが随所にあります。
特にカウルはフルカーボン製で、高級品を採用しています。
様々な細かいパーツに関しても他のバイクと同じパーツを使用しているのではなく、NR専用のパーツを使用しているなど徹底的にこだわり抜いた製品です。

排気音も他の車種とは違ってかなり存在感があり、当時のバイクファンにとっては憧れの存在だったと言われています。
NRが公道を走行していると、誰もが振り返るほどの格好良さだったと言われています。
発売当時から既に20年以上経過していますが、今でもバイクファンにとって幻の名車として慕われる存在です。
オーナーにとっては誇れる高級車となっており、きちんとメンテナンスをして現役で走行させている方もいます。